【行灯ANDON-Lantem-(和行灯-八雲-・洋行灯-夜間飛行-)】Design by 杉野 瑞彩

《カットや彫刻の加工で紙の魅力を引き出すにあたり「透ける」ことを活かして光を用いようと思いました。明かりを灯すと光の透過や陰影による”アートな行灯”に。明かりを灯さない時はただの白い筒ではなくインテリアになるものを、と印刷で加飾しています。デザインは和風と洋風の2種。どちらにも描き方の異なる雲のデザインが施されています。ふわふわと漂うように、幻想的な物語の中へ…光の世界をお愉しみいただけますように。》
(※デザイナーキャプションより)


紙と光の織りなす陰と陽、夢と現実の世界を行き来するような、想像力をかき立てるプロダクト。
障子や提灯など、古くから紙と光はよき関係性を育んできた。太陽の光を優しく透かし、ろうそくの炎のゆらめきを包み込んできた。
そして、発熱しにくいLEDライトの普及により、より安全に快適にそして自由に、紙のランプシェードが楽しまれるようになってきている。
作品は、紙ならではの加工適性を活かしたBOX型の行灯インテリア。
BOXの一面一面、物語を宿すような、さまざまなモチーフが描かれる。
「洋行灯-夜間飛行-」は、可愛らしくキラキラとした夢の世界で、夜空を自由にはばたくように。
「和行灯-八雲-」は、漂う雲の伝統文様の装飾に、眼光鋭い黒豹やフラミンゴなど、凛とした空気を醸す存在感。
それぞれに明るい光の下と夜の帳のなかでは、表情が大きく変わってみえることにも注目されたい。
プロダクトにはLEDライトがセットになっており、折りたたんだ状態から組みなおすだけで立体になる簡易なBOX型ですぐに使用することが可能。(LEDライトはボタン電池式の交換可能タイプ)
コロナ禍においては、遠くの世界を訪れることが難しくなっている今だからこそ、手にする人の描くストーリーで、どうか楽しく想像の世界を旅してほしい。
撮影:吉田 宗義


<プロダクト製作の見どころ>

社会に広く普及する紙箱の展開加工は、いわゆる型抜き(トムソン抜き)で行うのが一般的である。
シンプルな曲げや直線カット、多面を折るための物理的な凹凸をつけられるのが型抜き(トムソン抜き)の特徴。
本製品は、プロトタイプの少量生産ながら、デザインの位置精度を高く要求するプロダクトのため、UVインクジェット印刷を行ったあと、あえて予備断裁を行い、印刷の寸法位置を整え直したのちにトムソン抜き加工で精度を維持している。
その後にレーザーカットによる加工で、各所の微細な抜き加工だけでなく、二階層に分けた表面彫刻を施している。
その彫刻の深さに違いにより光の透け方が変わり、より奥行ある世界観を表現している。