【Bird box with choucho】Design by いそべかをり

《紙・鳥・箱・ティッシュ・線・ちょうちょ。ことばを順に、たどり、結んで、つなげて出来上がったのが今回のティッシュボックスです。どの場でも置きやすいよう紙色を控え、麻や綿のように身近な生地をイメージ。肌ざわりならぬ、指ざわりで馴染みやすい2種を選びました。》
(※デザイナーキャプションより)


ユニークなアイテムがそろうPAPER+Kのプロダクトのなかでは、その紙色やシンプルな形状から、もしかすると控えめなアイテムにみえるかもしれない。
ティッシュボックスのカバーは、すでに世の中にさまざまな素材であふれている。なにをいまさらと思う人にこそ知って欲しい。
紙だからできたプロダクト。
一枚づつ取り出される、ティシューの形状そのものをデザインととらえ、鳥の羽にみたてている。いまにも羽ばたくその姿を。
ティシューの真っ白く柔らかな素材感が、そのまま鳥の軽やかなの翼の表現にマッチし、紙素材だからこそ自然に馴染み、どこにおいても、さりげなくあなたにやさしく寄り添うアイテムとなっている。
プロダクトには印刷を施さず、紙の素材感のみで表現。
細かくゆらぎのあるカットと彫刻によって生み出された鳥と蝶々の紙の豊かな表現力を感じとってほしい。
平和の象徴であるハトがモチーフなのは、PAPER+Kの会場であり協力企業の平和紙業株式会社という社名との繋がりも。
社会不安が広がっているコロナ禍の世の中だからこそ、愛と平和の尊さを想う。
撮影:吉田 宗義


<プロダクト製作の見どころ>
印刷はせず、紙の抜き加工のみで製作。
ティッシュボックスの形状は、トムソン抜きで展開形状と箱の折スジを加工、その後、表面の彫刻や細かな表現カットをレーザーカットで施している。
注目は、取り出し口とわずかにみえる両端の縞模様。
取り出し口のカット面は、スパッとした直線ではなく、微細で粗削りな凹凸断面となっている。(店頭のPOP外周も同様の設計)
ケース内蓋両端には、細かく連続した縞模様の彫刻を施している。
そのざらざらとした手触りが、プロダクト自体を機械的な人工物ではなく、自然の揺らぎ、命の鼓動を感じさせるかのよう。
デザインは、参加クリエイターのなかでの唯一のイラストレーター。一般的なデザイン設計視点とは一味違う、絵を描く感性から生み出されたプロダクト。
使用紙は、ディープマット(ミストグレー)とフリッター(バフ)、特にフリッターは、ふわふわ・もこもこした独特な手触りの紙で、展示品にたくさん触れてその感触を楽しんでもらいたい。